【32】寵児マツダに見る弱者の戦略3
(1,2の続き)
ここから、マツダの絶好調の時代が始まります。5チャンネル戦略の反省を生かし、逆に車のキーコンセプトを統一し、ブランド力の向上を図りました。
また、彼らが「弱者の戦略」と自称する、逆張り的な戦略として、当時大手自動車メーカーは各社、EVやハイブリッッドといった電気中心のパワートレーンに、制御システムについては自動運転や先進運転支援システムに多大な投資を行っていました。
そこで、マツダはあえて彼らが投資を削っていた、内燃機関中心のパワートレーン、走る、曲がる、止まるといった慣性的な車の基本性能の強化に最大限投資を行いました。
ガソリン車の市場が将来的にシュリンクする傾向にあるというのは、各社が知る周知の宿命ですが、だからこそ、大手には資本力で敵わない中堅自動車メーカーであるマツダは、逆張りの戦略として、大手各社の投資が手薄になる領域に張ったのです。
これらの戦略が爆当たりし、顧客から車としての基本性能が高いという認知を取ったマツダは、一気にシェアを拡大、驚異的なスピードで黒字化を達成しました。
(続く)